コラム

心理的瑕疵物件とは?告知義務や不動産売買するためのポイントについて③

心理的瑕疵物件の例

心理的瑕疵物件の例として、神奈川県座間市の自殺志願者殺人事件(2017年)が挙げられるでしょう。何人もの自殺志願者と面会し、そういった人達をアパートの中で殺害していたという事件です。
この事件が起きたアパートでは、家賃を大幅値下げせざるを得ないという事態に追い込まれています。退去はそれほど発生していないとの報道もありますが、それでも物件の収益性は大きく低下していると考えられます。
一度自分の物件が心理的瑕疵物件となると、悪評が多くの人に知れ渡ってしまうため、不動産物件の運営に深刻な影響を与えるのです。

心理的瑕疵物件の告知義務

では、心理的瑕疵物件になってしまった場合、入居者や売却相手に告知をしなければいけない期間は定められているのでしょうか。
実は心理的瑕疵物件の告知義務の詳細は、法律で定められているわけではありません。しかし、告知しないで賃貸契約もしくは売買契約を結んだ場合には、借主もしくは買主から債務不履行、もしくは損害賠償請求される可能性が非常に高いのです。
告知を怠ったことから数千万円単位の損害賠償請求や、売買契約の解除を求められた判例もあります。

 

心理的瑕疵物件に時効はない

法律で定められていないだけに、心理的瑕疵物件に時効はありません。
時効がないからこそ、賃貸か不動産売買かで、相手に対する対応は変わらずとも、注意すべき度合いが変わります。

賃貸の場合

賃貸物件の場合、不動産業界の慣例では、事件や事故が発生した次の借り主には告知を行い、家賃を引き下げることが一般的になっています。そしてその借主が退去し、次の借主に対しては特に告知をしないというケースが多いようです。
ただし、その物件が事故物件だと周知されてしまっている場合、「教えられなかった」と売買価格の値下げや、退去及び引越し代を要求される可能性もあります。あらかじめ告知しておくに越したことはないでしょう。
賃借人も、心理的瑕疵が存在すると知った上で居住するのであれば、後で事実が発覚するよりも数段心持ちは楽になるでしょう。
賃貸借契約の場合、 心理的瑕疵物件の売主は、瑕疵となった要因を数年前に遡り告知することを推奨します。

不動産売買の場合

賃貸と違い、物件を購入する買主は、長期間にわたってその土地や建物を利用することを前提としています。また、支払う金額も賃貸と比べて膨大です。
心理的瑕疵の存在を知らずに購入し、後にその存在が明らかになった場合、賠償金の要求と共に訴えられる可能性があります。
そのため、たとえ数十年前の事件や事故であり、建て替えを行ったというケースでも、事件や事故があったことを告知しておくに越したことはありません。
事件から長い年月が経っており、きちんとした対処がしてある物件であれば、告知さえされていれば、告訴されるといった最悪の事態は免れるでしょう。

昔の心理的瑕疵を認知せず売却した場合は責任を負わなくていい

一方で、自分も心理的瑕疵物件と知らずに、その不動産を購入し、心理的瑕疵と知らないまま別の人間に売却したとします。最後に購入した買主が、前の持ち主に「ここは心理的瑕疵物件ではないか」と訴えてきた場合は、特に損害賠償の責任を負うことはありません。
その場合、自分が購入した時の売買契約書などを提出し、そこに心理的瑕疵の告知が行われていなかったとを証明しましょう。