コラム

アパートを売却の為の費用ってどのくらい?注意点も含めて解説

アパート経営が思うようにいかない時や経営が手間になった時は、思い切って売却してしまうのが得策です。
売却を考えるにあたってその費用を心配する方が多いので、この回ではアパートの売却にかかる費用面について見ていきます。

 

アパートの売却も一般の居住用物件と同じ売却費用がかかる

一部、収益物件特有の費用が発生することもありますが、基本的にはアパートの売却も個人で住む住宅の売却と同じ費用がかかります。
以下で主な売却費用を見てみます。

①仲介手数料

売却を手伝ってくれる不動産業者に支払う手数料で、買い手を見つけてくれた成功報酬の性質を持ちます。
400万円以上の価格となる場合、「(税抜きの売買価格×3%)+6万円」に消費税を加えた額が手数料上限になるので、この範囲で支払いを求められます。
仮にアパートが4,000万円の売買価格の場合には以下のように仲介手数料がかかります。
仲介手数料=4,000万円×3.3%+6.6万円=138万6,000円
上記は消費税が10%の際の計算となる為、消費税が今後変動した場合はその時の消費税が課税されます。

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②不動産譲渡所得税

不動産を売って得た正味の利益にかかる税金です。
まずは以下の計算で譲渡所得金額を求めます。
譲渡所得金額=「売却額-(取得費+譲渡費用)」
そして、「譲渡所得金額×税率」で税額を求めます。
税率は原則として対象不動産の所有期間に応じて長期所有か短期所有かによって変わり、20%または39%となります。

短期譲渡所得 所有5年以下 所得税30% 住民税9% 復興特別所得税0.63% 税率39.63%
長期譲渡所得 所有5年超 所得税15% 住民税5% 復興特別所得税0.315% 税率20.315%

特例によって税率が下がったり、譲渡所得税の特別控除が利用できることもあります。

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③抵当権抹消登記費用

抵当権の抹消とはアパートローンや住宅ローンの借入をしている場合、金融機関により抵当権を付けられていて、残債を完済した際にローンの残債が無いことを証明する為に、抵当権を無くす手続きとなります。
この手続きが出来ていないと、金融機関は抵当権を行使・実行する権利を有する状態となります。
また、不動産売買時には抵当権の抹消手続きが終了していないと新しい所有者への所有権の移転が出来なくなります。

抵当権抹消の手続きは司法書士の方へ依頼することが一般的です。
費用としては司法書士の報酬や手数料を含めて2万円~3万円が目安となります。
個人で行うことも可能で対象不動産一つにつき1000円の登記費用がかかります。
しかし、手続きは内容が難しく、売買の手続きと連動することが多くなるため司法書士などの専門家に任せるほうが良いでしょう。

④印紙税

売買契約書に記載する取引金額の多寡に応じて印紙を貼付します。
平成26年4月1日から令和4年3月31日までの間に作成される売買契約書の印紙代金は軽減措置が適用されます。
例えば1千万円を超え5千万円以下の物件の場合、1万円の印紙税がかかります。

契約金額 税率 軽減税率
10万円を超え 50万円以下のもの 400円 200円
50万円を超え 100万円以下のもの 1千円 500円
100万円を超え 500万円以下のもの 2千円 1千円
500万円を超え1千万円以下のもの 1万円 5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 10万円 6万円

(国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」参照)

⑤賃借人の立ち退き料

賃借人が付いたまま売却することもできますが、買い主が土地に興味があるなどで更地にして売る場合、賃借人に退去を求めるための立退料の支払いが必要です。

⑥土地の測量費

築年数の古い物件の場合、境界が確定されておらず測量図も存在しない土地があることがあります。
また、測量している場合でも昔の測量方法の為、誤差が生じている場合があります。
現在では、個人間の売買においても境界の明示を促しており、境界が無い場合は売主が測量をして境界を確定をしてほしいと希望される買主は多くなっています。
また、地積が大きく違っていればもちろん売買価格にも反映されてくるので、後々のトラブルを防ぐためにも測量は行っておくと無難です。
測量費については隣接する住宅数や私道があるか否かなどによっても異なってきます。
測量は意外と高額となりますので行う際は事前に費用を確認しましょう。

⑧ローンの一括繰り上げ返済費用

不動産の購入時にローンを組んでいて残債がある場合にはこのローンを完済する必要があります。
この際に借入を行っている金融機関に一括で繰り上げ返済をするのですが、この際に金融機関へ手数料が発生します。
繰り上げ返済の手数料は金融機関、返済方法などによっても異なりますので事前に金融機関または手続きを行う不動産会社へ確認すると良いでしょう。

 

アパート経営をしているときの費用

一方で、アパートを経営していくには以下のような費用がかかります。
経営にかかる費用が負担になるのであれば、売却にかかる一時的な費用を払ってでも売り払ってしまった方が将来的には得策です。

①固定資産税・都市計画税

土地と建物には両方とも固定資産税がかかり、都市計画区域の市街化区域内にある物件の場合は都市計画税もプラスされます。
原則として、固定資産税は課税標準×1.4%、都市計画税は課税標準×0.3%です。
土地に関しては、アパートが建っている間は一定の減免措置がありますが、更地にすると減免がなくなるので注意してください。

②所得税・住民税

アパート経営で利益が出た場合、個人の所得として所得税と住民税の課税対象になります。
アパート経営で生じる所得は総合所得という扱いになり、給与など他の所得と合算して所得税を計算します。
住民税は所得に連動して負担額が変わる所得割と、連動しない均等割りがあり、自治体によって負担額に差が出ます。

③個人事業税

概ね10室以上あるアパートの場合、事業規模の扱いになり個人事業税の課税対象になります。
年間290万円までの控除がありますが、それを超えた利益には5%の税率で個人事業税が課税されます。

④その他運営費

例えば賃借人募集のための広告宣伝費や、管理を委託する不動産業者に払う管理手数料、物件の修繕費用などのランニングコストがかかります。

 

費用をかけても空室率が高いとプラスにならない

賃貸経営は「安定した収入」面が強調されることが多いですが、実際には運営にかかる様々な費用が発生します。
管理運営の実費もかなりの出費になりますし、税金面でも多くの負担が発生します。
これらの費用をかけても、空室が多ければ収支がプラスになりませんから、赤字を垂れ流し続けることになってしまいます。
また、築年数が経過し設備が古い場合の設備の入れ替えや入居率を上げる為にリノベーションなどを施す場合、大きな費用がかかります。
ローンが完済出来ている場合は経費として見ることも出来ますが、残債がある場合はリスクが高まることもあります。

仮にリノベーションの費用に300万円かかったとして賃料が劇的に上がれば良いですが、1万円ほどの賃料アップでも設備投資の回収に単純に300ヵ月(25年)かかる計算となります。
万一空室が続いてしまうと賃料も入らない上に、投資した金額も回収出来なくなる為、注意が必要です。

少子化が続く現在の社会情勢下では、現状で採算が取れないアパートの場合、特別なことが無ければ劇的に経営がプラスに転じるということは考えにくいです。

お荷物になっている物件でも売却できれば大きな収益を確保できるので、赤字によって自己資金の持ち出しが必要になる前に、早急に売却を検討することをお勧めします。